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旧とアミ、かつらの話   

その アタマって キュウ?
キュウは痛いよねー
アミの方が楽でいいわぁ。

学生時代、
お姉さん達のこんな会話を耳にして、

鬘 (の中の形) は どれも 球 (キュウ) なのに、
いったい何の話をしてるんだ???

と 疑問で仕方がない時がありました。
ネットなど無い時代でしたから
自分で調べる手段もなく、
かつら屋さんに質問したところ、

キュウというのは 球 じゃなくて 旧 だよ

と教えて下さいました。
旧い形の鬘 (かつら)、ということですね。
では、何故 旧のかつら が痛いのか?
それは かつらの土台 (地金) に使用している
金属の違いにありました。

旧のかつら は 銅製
アミのかつら は アルミニウム製

銅は硬くて、アルミニウムは柔らかい。
ゆえに、銅のかつらは痛くなりやすい、
ということなのでした。
なるほど!ですね。

では次に、
両者の見分け方を見てみましょうか。

旧のかつら がこれで
旧とアミ、かつらの話_c0064209_10024586.jpeg
こちらが アミのかつら
旧とアミ、かつらの話_c0064209_10040531.jpeg
モデルはどちらも私ですが(笑)、
これではどう違うのか
さっぱり分かりませんよね。
ちょっとズームアップしてみましょう。

これが 旧で
旧とアミ、かつらの話_c0064209_10062914.jpeg
これがアミ


旧とアミ、かつらの話_c0064209_10070451.jpeg
生え際の違いに気づかれましたか?
旧は、羽二重 (絹の生地) に
毛を通して貼り付けてあります。
アミは、に毛を通したものが
貼り付けてあります。

歌舞伎で使用する殆どが旧のかつら。
ですから日本舞踊でも、
古典舞踊の作品はこちらを使う訳です。

古典舞踊と言われたって、
何の事だかわからない!
と 仰る初心者向けに、
ざっくりと説明するならば、

役の設定があるような演目が古典で
旧のかつらを使い、
何だか分からないけど
綺麗な恰好してスーっと踊っている時は、
アミのかつらを被っている…

そんな感じでしょうか(笑)

先ほどの写真も、
旧のかつら の方は「紅葉狩の楓」
という役柄設定のあるもので、
アミのかつら の方は「京風流曙染」
という演目。
恋しい人を待つ女性の心情を描いた作品ですが、
物語性の強いものではありません。

付け加えて言うならば、
アルミニウムは柔らかいため
羽二重を貼るだけの強度が無いのだとか。

まぁね、こんなことを知らずとも
舞台は十分楽しめますが、
舞台の裏側を知って もっと楽しく♪
そんなお手伝いができれば良いな、
と思って書いてみました。

長々お付き合いくださいまして、
ありがとうございました。









by mam-ori | 2015-10-07 10:36 | 23-菊水会

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